第3回は、初の招待作品 チーム「打弾團」制作のSound Of DADAN (SOD)を紹介します。

自作楽器博物館 別館企画展 第3回

初の招待作品 チーム「打弾團」制作
Sound Of DADAN (SOD) / 齋藤 幸太郎さん

展示:2004年3月22日〜
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はじめに

 2003年の6月8日、1通のメールが届きました。私のサイトを見て、自作電気楽器を作ってみたいとのことでした。当時、私自身スケジュール的には大変厳しかったのですが、何度かメールのやりとりをして、北海道函館市の高専の電気電子工学科の学生ということを知り、学園祭の出し物として楽器を製作したいとのことでした。
 私自身も工業高校の電気科出身ということもあり、工業高校生は、みんな先輩後輩みたいなものと日頃から思っているので、出来る限りのアドバイスをしました。
 このような質問やアドバイスに返事を送った場合、その後の連絡がなく大変寂しい思いをすることが多いのですが、なんと10月の学園祭前後に、製作状況や画像を送って頂き、とても感激しました。そして、今回初の招待作品として、紹介することとなりました。
 以下、メールをやりとりした齋藤幸太郎(こーたろ)さんのインタビューと、送って頂いた楽器の画像です。
米本 インターネットで私のサイトを見て頂いて、
メールを頂いたことがきっかけでしたが、
私のサイトを見て、
どう思いましたか?
こーたろ ほんとすごいと思いましたよっ!!
色々とユーモアある作品が拝見できてとても為になりましたわっ♪
米本 回路図などを具体的に公開していないので、
良いアドバイスが出来たかどうか、
私には自信がないのですが、
私のアドバイスはお役に立ちましたか?
こーたろ いやあんま・・・
米本 ・・・・・・・・・ん?
こーたろ というのは嘘で(笑 、
かなり役立ちました! 色々と電気のことも学べたし、
電気科の我ら打弾團としては、
とても心強かったです!
米本 よかったよかった(笑
「SOD」とは、
どのような楽器が説明してください。

Sound Of DADAN (SOD)

こーたろ それぞれ違う音のでる発振回路を4つ作り、
4つの光センサーをつかって、
受光量によって色々な音をだせる・・・・みたいな?(笑
一応4和音です!
光センサーを「グローブ」の両手に各2個づつ装着し、
我ら特性の暗幕使用の小部屋の中にある、
これまた我ら特性の、色々なカラーの電球付きデスクにグローブを近づけ、
色々な音をだせるようにしたっ!・・・・みたいなもんです(笑
結構おおがかりな楽器になってますが、
僕ら的には満足のいく仕上がりです。
米本 光センサーは何ですか?
こーたろ Cdsです。
米本 やっぱりそうですか、0号機と同じですね!!
それで音の高さをコントロールしているのでは?
こーたろ ズバリ音の高さなどをコントロールしています。
米本 電球に近付けると、少しノイズがかった音がしたのでは?
私はそれを効果として使っているのですが。
こーたろ ノイズは、色々回路をいじってなんとかほぼ消してあります。
音域も結構広く、センサーを手で覆い隠せば、
全く音を出なくすることもできました。
米本 制作期間はどのくらいでした?
こーたろ 團自体が結成されたのが今年(2003年)の六月くらいからだったから、
約4ヶ月ぐらいですかねぇ?
最初のころは、
チーム名一つ決めるだけで無駄に悩んでましたわ(笑
米本 開発当初から、このような完成形をイメージしていたのですか?
作りながらアイデアが変っていったことはありませんでしたか?
こーたろ だいたいこのようなもんですね、
大きく違う部分があるとするなら、
最初は光源を今みたいな三角柱ではなく、
水晶みたいな形にする予定だったんですよ。
けど、予算やらなんやらで結局今の形に・・・・
いや、でも三角柱も結構大変でしたよっ!!
よって、別に妥協ではありませんっっ!!・・・・たぶん(笑
米本 光センサーをグローブに取り付けるというのが、
とてもユニークなアイデアだと思いましたが、
どなたのアイデアですか?
こーたろ 基本的に、
今回の楽器は私のアイデアが採用されたものなんすよねっ( ̄ー ̄)
米本 光源が色々なカラーの電球というのが、
私は個人的に大変おしゃれだと思いましたが、
電球にしたのはなぜですか?
こーたろ 一番入手しやすかったからですね。
っていうかソレ以外思いつかなかったからかも・・・・
米本 暗幕使用の小部屋も楽器の一部というのが、
ステキなアイデアだと思いました。
実際にやってみていかがでした?
こーたろ いや、最高でしたよ!
実はあの小部屋はフラフープなどでできた、
実に質素なもんなんですけど効果は絶大でしたねっ!
米本 部品や機材はどうしました?
写真を見ると私には大変懐かしい感じの電源装置などがありますが.......

SOD体験中の様子。少々レトロな電球と、
たくさんの配線がサイバーでGOOD!!

こーたろ すべて学校から拝借しました、
工業系の学校はなんでも揃ってて便利ですわ♪
米本 その他、制作における苦労話、
ユニークなエピソードがあれば教えてください。
こーたろ 当初は5人のメンバーだったんですけど、
最終的にはほぼ3人でやってました(汗
よって他のチームとは労働量が、
比較にならんくらい大変でしたよ(T∀T)y-~~(プハァ)
あと、ようやくの思いで完成させた小部屋が、
他のチームのヒットマン(笑 に破壊されたことっすかねぇ。
悪気はないとはいえ、さすがにテンション↓でしたわ(A^_^;)
米本 文化祭当日のお客さん、または関係者の反応はどうでした?
こーたろ みな交代で紹介役やってたんですけど、
僕のときは女子高生に結構ウケてましたわ♪
他にも教官方にも、スケールのでかさや、
アイデアなどほめられましたよ〜!
米本 私とのメールのやりとりから始まり、
検討、設計、実験、実際の制作、そして、文化祭での発表、
全てを体験してみて、どうでしたか?
こーたろ なんというか、完成した日は燃え尽きましたね。
やっと肩の荷がおりたーーー!!みたいな(笑
しかし、発表して、実際に楽しんでくれてる皆さんをみて、
やっぱりやってよかった!と思えましたねぇ。
米本 イカす!チーム名、
「打弾團」(だだんだん)のネーミングの由来を教えてください。
私はターミネーター2の音楽を思い出しましたが......(笑)。
こーたろ 楽器ということで、
音に関する漢字をいくつか考えてて、
最終的に私がこの読みの似た「打」と「弾」を使い、
チームということで「團」をつけて「打弾團」を考えたのが由来っすねぇ。
米本 「打弾團」のメンバーは何人ですか?
宜しければ、せっかくなので、
メンバーとそれぞれの役割を教えてください。
こーたろ え〜、前記でも話したように実際に活動したのは3人ですっ!!
・・・でわ役割紹介
團長ウッチー)主に回路担当、買出し、金出しなどもこなしました(笑
副團長しゅん)小部屋担当、その他にもはんだなども手がけましたねぇ
(私)参謀こーたろ)アイデアマン、光源製作、看板製作、情報収集、
手がけたジャンルは一番多かったすねぇ
米本 今後、何か新しい楽器や機械に挑戦する予定はありますか?
こーたろ 次は約半年後、やる羽目になると思います(笑

グローブをつけてSODを演奏!?するこーたろさん

米本 有難うございました!!

おわりに

 いやいや感激しました。暗室の中で、空間、光、音を観客が体験するという、SODは単に楽器というより、一つのインタラクティブ・アートと呼んでもいい作品だと思います。
 「和音を出したい」との質問から、キーボードのお化け!?のような作品を、私は想像していたので、とても良い意味で予想を裏切ってくれて、嬉しかったですね。協力して良かったなぁ〜としみじみと思ってます。
 電子技術を使ったインタラクティブ作品が、1つのジャンルとして定着していますが、90年代に入ってからは、パソコンのソフト上で全て作品を作ることが主流となって、逆にオリジナリティーのある作品が、少なくなっている現状があります。パソコンを使わず、身の回りの素材を組み合わせて、ユニークな表現をしたということは、本当に素晴らしいですし、他の工業高校生やアーティストにも刺激になると思います。
 こーたろさん! このページの制作が遅くなってすみませんでした。次回の作品も期待しています。有難うございました!!

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