企画展第10回は、弁慶さんの研究にインスパイアされて、独自のヨネミン開発を続ける山ト進歩さんの登場です。
そのユニークなアイデアを実現してしまうパワーと、夢のあるデザインに感動し、
今回お願いして、掲載させていただきました!

自作楽器博物館 別館企画展 第10回

山ト進歩さんのヨネミン研究・改造レポート
展示:2010年11月16日〜

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あいさつ

シンプルなものほど奥が深かったりします。私が取り組んでいるアナログ回路は、時代に逆行するものですし、現代のニーズと合っていないことは充分に承知しています。でも電気信号を直接いじる面白さは、アコースティック楽器を物理的に改造していく楽しさに似ています。削ったり、板を付けて反響させたり、テープでミュートしたり…などなど。
もちろんきちんとした理論が必要な場合もありますが、思い付いたことをまずはやってみる!って意外と収穫があるものです。

既成概念にとらわれず、ちゃんと音を聞いて、手を動かして作ってみる、楽しみながら発見を続ける山トさんの活動に、深く感動しました。そして出来上がったユニットたちのラベルやロゴなどのセンス、こだわりを感じるデザインも夢があって素晴らしいのです。

山トさんの研究を一緒に追体験していきましょう!!
米本実


●序

弁慶氏のヨネミンの研究を参考に、さらに自分なりにやってみた。

(なお、文中の回路図は、弁慶氏制作のものに書き込みました。有難うございました。)


●「抵抗をはさんでみる」の発展形
〜演奏がしやすいように調整できるぞ〜

・低音部ゼロポイント調整
抵抗は抵抗でも、半固定抵抗をはさみ、チューニングすると、
「ブツ ブツ」音で演奏にならない部分を、無くすことができるぞ
(私の組み立てた ほぼ全部のヨネミンに、つけてます)

・高音部の調整
高音すぎて 使いたくない音があるなら、
あるいは高音部分をすぎて 音が出ない所があるなら、
強い抵抗を並列つなぎにすると、それを無くすことができるぞ。
(操縦桿型ヨネミンにつけました)


操縦桿型ヨネミン




●「トランスを換えてみる」の発展形
〜音域の広いヨネミン(山ト壱号仮称)ができました〜

弁慶氏は、低音を作ったから、私は高音を作ろうと、
抵抗の弱い、SD−82を使用したところ、高音もすごいけど、
低音は通常のヨネミンより低い、音域の広いヨネミンができました。
ただし、操作はしずらい、くせのあるヨネミンです。
尚、山ト壱号を超えようと、ST−83を使用したところ、低い音が出ない。
どこかに、ちょうどよいトランスの抵抗があるはず、今後の楽しみです。
(※なんだか、こった文字を使うと表示できないなー。ヤマトは山カンムリにカタカナのトなんだけど。)


山ト壱号(仮称)




●「4つのトランスが、合体できました!」

並列つなぎとか、直列つなぎとかを、考えると、より極端な抵抗のトランスになるだろうと考え、やってみた。
結果、1次側の並列は可能だが、直列はたぶん不可能。という結果に。1次側並列で、いろいろやってみた。

・SD−82 4つの場合
いい音だけど、山ト壱号仮称より、低い音が出ない。
音程用の可変抵抗は、山ト壱号より抵抗の低い物ですむみたいです。

・SD−108 2つと、SD−82 2つの場合
SD−82 のような音に、ブツブツ音がまじり、いやな音に。

・SD−82 3つと、ST−83 1つの場合
音が少し、濁ったような音になってしまった。
逆に、キレイな音になる組み合わせは、ないだろうかな。

・SD−108 4つの場合
通常のヨネミンベースよりも、音がいくらか大きくなったように聞こえた。
音程は、通常のヨネミンベースとほぼ同じ。
音程用の抵抗は、通常のヨネミンベースよりも低い物ですみます。
これは、使い道がありそうです。






●独自のアレンジ、「携帯用に、イヤホン用ボリューム」

どうも、演奏が下手な私の場合、まわりに迷惑をかけてしまい、
イヤホンで聞ければなーと。それに、コンパクトサイズにまとめれば、
いつでも どもでも携帯していける。
弁慶氏の実験と同じように、「出力側の抵抗の影響」が音程にもあるようですが、
イヤホンで、聞くにも大丈夫です。


携帯型ヨネミンベース、携帯型ヨネミン


携帯型ヨネミンベース






そして、、、

演奏が下手な私は、ヨネミンの自働演奏を、考え中。
「シーケンサーのような物」を作るつもりです。


●その他の発見

・弁慶氏の使っているトランジスタ、「パワートランジスタ2SD880」

2SC1815とくらべて、弁慶氏は「音が太い」と表現しているけれど
私の表現なら「音がマイルドでやさしい」という印象です。
ただし、多少 低音が出なくなるみたいです。
どちらのトランジスタも、よい音ですよ。ただ、好みは分かれると思います。

・2つのヨネミン(私の場合、携帯用と山ト壱号)で、全く同じ音を出して、
1つのスピーカーで聞く場合


ほんの少し、音がずれると、、、、
「ヘメーー へメーー へメーー」と、不思議な音がする。
二つのヨネミンを、うまく合体させれば、ヨネミン ダブルフォーン(仮称)とでも言うべき、新型ヨネミンが作れるかも?

その後、どうなったか、、、


●不思議な音のヨネミン「ヨネミン ダブルフォーン」できました。

山ト壱号を2つ合体させたような物です。
なぜ、山ト壱号を使うかと言うと、音が重なるぶん音域が狭くなると思って、
音域の広い、山ト壱号をえらんだんです。
実際やってみると、へメー へメーと言うよりか、予想外にファンキーな感じの音に。
トランジスタは、2SC1815を使うと、高音の強い金属的な音に。
2SD880を使うと、少しやさしい材木的な(?)音に。
(材木的な音って表現が変かな)
ちなみに、通常版と簡易型の携帯用、2つ作ったので、さらにその2つを、
1つのスピーカーにつないで、同じ音を出したら、、、
「うげえええ!!!」テレビの砂嵐をファンキーな感じにしたような不快な音に。


ヨネミン ダブルフォーン 簡易型の携帯用と通常版


ヨネミン ダブルフォーン通常版





●「山ト壱号を超えるヨネミン」できました。

山ト壱号よりも、音域の広いヨネミン。
山ト十一号 → 山ト士号 → サムライ
11号だからコードネームは、サムライだ!(って 変なネーミングです。)(笑)
低音が山ト壱号よりも低く、高音は山ト壱号より劣るものの、
通常のヨネミンに1MΩをつけた物と同等なくらい高い音も出ます。
だから、サムライのほうが、使える音域が広いと思います。
サムライの欠点としては、トランスの寸法がデカイってことですけど。
あと米本氏をまねして、小さな平滑くん「平滑くんJR.」を作ってみたので、いっしょに写真をとりました。


平滑くんJR.とサムライ


平滑くんJR.とサムライ




●「「トランスの合体、良い音みつけました」

ST−48とST−33の組み合わせが、良いようです。
2次側に、まんなかに黄色があり、8Ωのほかに4Ωもあるので、2つずつ4つ合体ではなく、1つずつで2つで大丈夫でした。
サムライよりは、音域がせまいものの、なんとなく良い音がします。



山ト壱号と、サムライ、誰か楽器らしい、いい名前つけてくれないだろうかな。
ちなみに、ダブルフォーンって、自動車のクラクションの名前からとりました。
これも、いい名前ないかなー。


●並べてみたら、、、



私が作るヨネミンは、最初に操縦桿型を作った影響で、縦型が多いけど、
並べてみたら、縦型の利点に気がついたんです。
本家の横型は、両手で握って、縦型より安定して演奏できそうですが、
縦型は、「もしも、オルガンを作るなら」と言う発想なら、そのまま鍵盤になりそうです。
大きさを、そろえないと、変ですけどね(笑)。


「山ト進歩さんのヨネミン研究・改造レポートU」へ続きます。

山ト進歩



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