コスモスはガチャガチャのカプセルに、SYSTEM Yはアルミのケースに

子供の頃、駄菓子屋やあらゆる店舗の軒先に置かれていたガチャガチャ。その中でもかなりの異彩を放っていたメーカーがコスモスだ。「ワキワキワッキー!!」のフレーズでお馴染み、ご当地タレントのワッキー貝山氏がコレクションしている膨大なコスモスの商品を分類、撮影、解説をして、更に関係者へのインタビューも収録した本が出版された。2014年の2月、店頭で表紙を見た瞬間に全てを理解した私は本を抱えてレジに走った。

愛しのインチキガチャガチャ大全-コスモスのすべて-
愛しのインチキガチャガチャ大全-コスモスのすべて-集 ワッキー貝山  著 池田浩明

懐かしい!よくもまぁこれだけの商品を集められたものだと感動する。ガチャガチャは自分のお目当てでない商品も出てくるので、その場合子供たちは悲しみと怒りに任せて破棄破壊したりするので、プラモデル同様なかなか良い状態で現物が残っていないと聞くからだ。素晴らしい!

当時のガチャガチャは子供が欲しい流行りのおもちゃをコンパクトに安く提供する…と見せかけて、かなりの数のハズレが入っているというギャンブル性があった。それゆえに望みの商品が出てきたときの喜びといったらなかった。

私が一番夢中になったのはキャラクター物の消しゴム、インベーダーグッズ、「スライム」や「ミーバ」、ルービックキューブ系の立体パズルだったと思う。きちんとしたおもちゃメーカーから発売されているオリジナル商品と比較すると、子供でも十分に胡散臭さを感じたが(笑)、それでもサイケデリックな台紙や見本を見ると欲しくてたまらなくなったものだ。この感覚を絶妙に表現してくれた記述がこの本の中にある。

ドリフの全員集合の人気コーナー「ヒゲダンス」が流行った頃、小学生はあのヒゲを手に入れて自分もドリフになりたいと思ったものだ。だが…

「ドリフはそれだけでは片付けられない。私たちは「志村、うしろうしろ!」などと、彼らを罵倒する。にもかかわらず、どうしようもなくあこがれている。この奇妙なねじれはなんだろう。あこがれながら罵倒する。それと極めて似ているものがひとつあることに気づいた。コスモスのガチャガチャである。」P.86

まさにそう!どこか胡散臭さを感じつつも欲しくてたまらない、ドキドキワワククしながらお金を入れてハンドルを回す感覚。私の中でモヤモヤしていたコスモスに対する想いを見事に表現してくれた。池田さん、ありがとう!!

またP.42では、商品を小さなカプセルに詰めるため余分な要素を剥いでいく作業にミニマリズムのアートとの共通性を指摘。しかし片や美術館に、片やゴミ箱へという悲劇(笑)。そう!私もコスモスが後者であることに真の芸術性を感じるぞ!

そして一年後の2015年2月、ネットで続編が発売された情報を聞いてさっそく書店で購入する。

素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界-コスモスよ永遠に-
素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界-コスモスよ永遠に-集 ワッキー貝山  著 池田浩明

フォーマットは前作と同じだが、より多くの商品が掲載され、更にあの「ロッチ事件」の真相も載っている。そして最後は現在進行形のコスモスのムーブメント(本に載っている場所に行くとコスモスが出来る!)の紹介で終わっている。
そう!コスモスの大きな赤いボックス機は埼玉&群馬でチェーン展開している万代書店に現在あり、ワクワクとトホホ感を今でも味わうことが出来るそうだ。この話題は近年のレトロ自販機のブームとも連動していて、機会があればブログにまとめてみたい。

というわけで、ぜひ2冊とも手にとって読んでみて欲しい。きれい、安全、正しさだけでは学べない大切な何かがそこにはある。
更にこの2冊は、季刊レポ(株式会社ランブリン発行、編集長北尾トロ)の「第2回笑う本棚大賞2014」を受賞した(19号参照)。めでたい!

SYSTEM Yの写真

現在私が取り組んでいるSYSTEM Yは、日本が世界に誇るケースメーカー「タカチ」のMB-2という型番のアルミケースに電子回路などをつめていく、一応モジュラーシンセなのだが徐々に変な方向にいってしまったユニットの集まりである。そのバカバカしさや怪しさの根底に、コスモス体験があったことを今回改めて実感した次第。

南足柄文化会館で行われた「21世紀の楽しいシンセサイザー教室」の様子 1
南足柄文化会館で行われた「21世紀の楽しいシンセサイザー教室」の様子 2
南足柄文化会館で行われた「21世紀の楽しいシンセサイザー教室」の様子
2015年8月18日(火)~19日(水)

コスモスがいろいろな夢いっぱいの怪しい商品をカプセルや箱につめて人生を教えてくれたように、私もタカチのアルミケースに脱力な仕掛けや変な電子回路をたくさん詰めて、子供たちや大きなお友達に怪しさとワクワク感を提供すべく、仲間たちと活動を続けていきたいと思う。

…と、カッコ良くきれいにまとめたが、コスモスから最も影響を受けたのは、何の変哲もない物や部品をユーザーの創造力を豊かに!という名目で堂々と提示する図太い根性かもしれない(笑)。

シンセサイザーと呼ぶには問題が多すぎるユニットたち

↓栓抜きを豪華に搭載しただけの豪快なユニット「ボトルオープナー’BLACK DUCK’
SYSTEM Y 144 ボトルオープナー'BLACK DUCK'

↓耐熱シリコンを貼り付けた上に、蒸発皿を置いて、あらゆるロウソクがおけるユニットと豪語する「マルチキャンドルスタンド
SYSTEM Y 076 マルチキャンドルスタンド

↓目玉クリップを大胆にあしらったいろいろな書類がはさめる便利なユニット「GABAN
GABAN

そして、近所にコスモスのガチャガチャがあると知って再会を果たすが→こちらをクリック

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カテゴリー: 昭和レトロな日々 | 投稿日: | 投稿者:

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